物流のグローバリゼーションがどのような経緯を経て作られたか、という歴史が語られる本。横浜の大桟橋からコンテナを満載した船を見たことがありますが、あのような大量&低コストの流通網が構築されるまでの紆余曲折が語られる本でした。
数々の闘争の産物
コンテナは世界共通のサイズで、そのまま鉄道にも搭載できるように設計されていて…なのは何となく想像できます。みんなが共通規格に従えば従うほど効率は上がるのなら、みんながWindows使うのと同じように規格は自ずと統一されていくものだ(ネットワーク外部性というやつ)、と思いきやとんでもない。本書は、原題の統一規格なコンテナ輸送が、それこそ様々な争いによって作られたものである、と教えてくれます。
たとえばこんな闘争が描かれていました。
- 効率化で仕事を失う沖中氏(おきなかし:船と陸の間で荷揚げ荷下ろしをする作業員)とコンテナ導入で効率化を図る経営者との争い
- コンテナのサイズや積み上げの機構、固定の機構に関する主導権争い
- 輸送船のサイズ競争
- 鉄道と船のコスト競争
- 輸送費用を維持したい輸送会社の連盟団体と非加盟の輸送会社との荷主争奪戦
- 港の覇権争い
- などなど
驚きだったのは、多くの闘争が『既得権益(自分たちの仕事)を守ろうとして規制や団体交渉でイノベーションを阻もうとする勢力』との闘いであるという点。現代に例えると、『メールを導入したせいでFAX処理の担当者の仕事が無くなるなんて許せない』ということなのですが、『なるほど、そりゃ争うよね』とは思えません。とはいえ、環境の規制も、経営者倫理もコンプライアンスもまだまだ発展途上の時代、資本家がそれこそ好き勝手やって儲ける世の中で労働者が様々に闘ってきた、ということなのでしょう。
世界の変化はこれからもきっと続く
本書は今のコンテナ流通も最終形態ではない、と結びます。数年前だったら『とはいえ、これ以上劇的な変化なんてないでしょう?』と感じていたとは思いますが、CO2排出規制やコロナによる経済の縮小を目の当たりにして、むしろ『やはりまだまだルールは変わるに違いない』と思わざるを得なくなりました。
本の帯の『ビルゲイツも大絶賛』に若干のうさん臭さを感じてしまった本でしたが、新しい観点から歴史が学べる本としては面白かった。タイトルは『THE BOX』でしたが、テーマはハコそのものにあるのではなく、結局はハコを通じて人々がどうふるまってきたか、ということなのですね。
Photo: https://unsplash.com/@tobiasamueller
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